道路交通法に基づくチャイルドシートの着用義務に関して、医療系の学会は年齢制限の引き上げなどの見直しを求め、法改正を提案しています。
シートベルトを使用している場合でも、子どもが命を落とす事故が発生している現状を踏まえ、「事故後の家族の心身に与える苦痛も考慮すると、これを軽視することはできない」と強調しています。
(※2025年11月25日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
子どもたちの安全確保を求めて、医療学会が警察庁へ陳情書を提出
日本救急医学会、日本外傷学会、日本臨床救急医学会、日本小児救急医学会は、2025年9月に合同で警察庁長官宛てに陳情書を提出しました。
同じ趣旨の陳情書は、昨年12月に日本小児科学会からも送られています。
この動きのきっかけとなったのは、2024年8月に福岡市で発生した事故です。
軽乗用車とバスが衝突し、軽乗用車の後部座席に座っていた7歳と5歳の子どもが命を落としました。
両方の子どもはシートベルトをしていたものの、チャイルドシートは使用していなかったとされています。
シートベルトによって腹部が圧迫され、内臓損傷の可能性が指摘されています。
現行の道路交通法では、6歳未満の子どもにはチャイルドシートの使用が義務づけられていますが、6歳以上にはその義務は課せられていません。
チャイルドシートの使用義務化を求める陳情書
陳情書では、ドイツやイタリアなど、身長150センチ未満の子どもに対し、チャイルドシートの使用を法律で義務づけている国があることを指摘しています。
日本自動車連盟(JAF)は、チャイルドシート使用の目安を「身長150センチ未満」としています。
身長150センチ未満の子どもがシートベルトを使用すると、首や腹部にベルトが当たり、衝突事故の際には脊椎や内臓を損傷するリスクが高まります。
こうした現状を考慮し、陳情書では「13歳未満または身長150センチ未満」の子どもに対し、チャイルドシートの使用を義務づける法改正を早急に実施するべきだと提案しています。
子どもの安全確保に向けた法改正の必要性を訴える
日本小児救急医学会理事長で、埼玉医科大学総合医療センター小児科教授の井上信明氏は、「子どもは社会の未来を担う存在です。命を失ったり、後遺症を負ったりすることは、社会全体の未来を失うことに等しい」と強調しました。
さらに、「法律に則った適切な使用をしていても命を落とすことがあってはならず、法改正が必要です」と訴えています。
警察庁は取材に対し、「身長による基準設定を含めた意見は認識しており、チャイルドシート使用の年齢や要件については制度的な検討を行っています」と回答しました。