日常生活のおしごと
モンテッソーリ教育の一番の特徴と言えば、子どもたちの「おしごと」です。
お仕事には、「日常生活」「感覚教育」「言語教育」「数教育」「文化」の5つがあり、子どもたちは自分で「やってみたい」と思うものを探します。
大人から「これをしなさい」と指示することはなく、あくまで子どもの自主性が尊重されるのです。
お仕事を終了するのも、決めるのは子ども自身。同じ物に何度も取り組み、自分自身で「やり切った」と感じたら、次のお仕事にとりかかります。
このお仕事を通じて、子どもたちは自分自身を成長させていきます。
今回は、モンテッソーリ教育で行う「日常生活のおしごと」をご紹介しましょう。
日常生活のおしごと
幼児は大人の真似が大好き。
自宅でも、料理のお手伝いをしたがる子どもは多いのではないでしょうか。
日常生活のおしごとでは、子どもたちが自分の身の回りの世話をするやり方を身に着けていきます。
自分のことを自分でできるようになることは、自立への第一歩です。
例えばこんなおしごと
「日常生活のおしごと」と言われても、ピンと来ない方も多いでしょう。
園によって違いはありますが、自宅でもできるような仕事がたくさんあります。
●物を移動させる
お米や液体を、右の容器から左の容器に移していくお仕事や、物を開いたり閉じたりするお仕事は、集中力・注意力を高めるだけでなく、運動機能の発達を促し、力加減を覚えていきます。
両手を使って物を運ぶお仕事では、バランス感覚が養われます。
●掃除・洗濯
掃いたり、磨いたり、拭いたり、洗ったり、アイロンをかけたり、たたんだり。
掃除・洗濯のお仕事は、腕の運動になり、キレイになる達成感を味わうことができます。
子どもの教育にもなってお家もキレイになるなら、ママは一石二鳥ですね。
●料理
切ったり剥いたり削ったり、火を使ったり、料理のセッティングをしたり。
年齢によってできることは変わってきますが、本物をたまねぎやゆでたまごの皮むきなら、幼い子どもにも安心して任せることができます。
自宅でするなら、米とぎを子どもの担当にするのもおすすめ。メモリ通りに水を止めるなど難しいことも多いですが、慣れてくると上手にできるようになります。
●花壇や動物のお世話
花に水をあげたり、動物にエサをあげたりするのも、大切なお仕事の1つ。
自然や動物への思いやりの気持ちも育ちます。
花を活ける仕事は、美的感覚も養われます。
●着脱
着る・脱ぐも、子どもにとっては大仕事。
園ではボタンをかける教具やファスナーの教具を使って、着脱が上手になっていきます。
●切る・貼る・縫うなど
大きなビーズに紐を通したり、描かれた線に沿ってハサミで切ったり、紙に書いた図形と同じ形のシールを貼ったり、針と糸を使って縫い物をしたり、紐を三つ編みにしたり機織りしたり。
これらの仕事を通して、指先を上手に使えるようになっていきます。
本物を使うことの大切さ
モンテッソーリ教育では、本物を使っておしごとを行います。
もちろん、全て子どもサイズのものを準備していますが、落とせば割れてしまうコップを使ってお茶をいれたり、生きている花を使って生け花をしたり、本物の糸と針で縫い物をします。
子どもたちは本物を扱うことで、慎重に扱うことの大切さを学んでいくのです。